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2009/01/20

財政法5条ただし書

 日本の予算立案を律する基本法として、財政法という法律がある。
 この法律の第5条によって、日本国政府は、中央銀行引き受けで国債を発行することが禁じられている。しかし、この条文には、重要な「ただし書」がある。

第五条

 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。


 孫引きとなり恐縮ですが、次のように、この国債の日銀引き受けは、昭和恐慌からの脱出を実現した「高橋財政」において実施された「切り札」であった。


 そもそもなぜ高橋財政において、岡田・安達・岩田(2004)は二段階のレジーム転換という整理を行うのだろうか。その理由は、a)金本位制の放棄により「金の足枷」から脱出した日本経済の為替レートは大幅に下落(対米為替レートで31年2.05円/ドルから32年3.56円/ドル)し、インフレ率は大幅に上昇(31年マイナス9.8%から32年マイナス1.8%)したものの、その水準は1920年代後半とほぼ同様であり、「井上財政」からのレジーム脱却が十分でなかったと解釈できるためである。事実、株価は32年2月から、卸売物価も4月から再び下落に転じ、景況感は急激に悪化し始めたのである。本格的な「井上財政」からのレジーム脱却は、b)赤字国債の日本銀行引き受けという金融緩和によってなされた。この二段階レジーム転換という主張は、岩田編『昭和恐慌の研究』中の第六章に収められている予想インフレ率の推計で具体的に論証されている。


「昭和恐慌、およびその脱却の経験から何がいえるのか(その1)」~Econviews-hatena ver.∞~

 確かに、昨年末、2008年12月19日の日銀金融政策会合では、国債の市中買い切りオペや、CP等の買い切りといった方策も措置されることになったが、この点については、次のような指摘もあった。

 ごく短期的な金融政策としては、市中への貨幣供給を徹底的に増加させることである。ただでさえ金融機関などの縮み志向は強まっており、貨幣保蔵動機が強まっている。 金融機関を経由する間接的措置ではなく、一定規模のCPを日銀が大幅に買い切るといった直接的措置も必要となっていくだろう。金融機関の他律的信用創造に頼らずに、直接市中に貨幣を大量に供給すべきである。 信用創造が弱まっている時には、手元に貨幣を豊富に持たせるという形で流動性を確保させなければ、経済活動の活性化、特に消費低迷の打破にはつながらない。 では、どの程度の規模での「信用」の創造が必要となるだろうか。これについては様々な考え方があろうが、一つの考え方をここで提起しておきたい。 先ずCPに関しては、CP市場の昨年水準を平時と見れば、現在は当時から約2兆円縮小しているため、最低限それに見合った規模のCP買い入れを行うべきだ。 次に国債に関しては、市中市場の中立化を目指すべく、来年度の新規増発分の約33兆円規模の買い入れを目指すこととしてはどうか。買い入れ規模の目標を暫定的に設定し、経済情勢に応じて随時見直すことも並行して行われたい。 目下、CPを約2兆円、国債を約33兆円というのが、必要最低限の買い入れ規模であると考える。


~「日銀の金融政策に関する一考」:石川和男 東京財団研究員~


 この内、CPの市中買い切りについては、この報道のように明日以降の金融政策会合で2兆円程の規模で具体化が進みそうだ。
 しかし、国債の買い切りオペについては、そのマグニチュードがはっきりしないところがある。とするならば、いっそのこと国会で国債の日銀引き受けを議決してしまったらどうだろうか。
 バーナンキFRB議長から、厳しい指摘を受けている日本銀行に任せるよりも、「国権の最高機関」たる国会議決によって、高橋財政の切り札を行使してみるのも悪くないと思うが。

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