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2009/02/16

次の「補正」予算の編成に向けて,「安定財源」幻想を払拭すべきとき

自治体の百人の正職員募集に殺到 全国で2万4千人分の緊急対策

 全国の312の自治体が緊急対策として臨時職員を中心に計約2万4000人分の働き口を確保したことが14日、自治労の集計で分かった。このうち、100人超しかない自治体の正職員募集には派遣切りに遭った人たちなどが殺到。一方、短期の臨時職員には応募数が定員に満たないケースがほとんど。再び不安定な非正規労働の状態に戻るより、正規に働けるチャンスをじっくり探る傾向が強いようだ。


 残念ながら、鳴り物入りの地方交付税や各種基金による「206のモデル事業」の先行きが思いやられる報道。しかし,これは予想されたことであろう。人間は、学習するものなのだから、非正規雇用で、例えば派遣切りにあった人が、臨時雇用に嫌気がさすのは当たり前であり、予想の範囲内。
要すれば、目下の景気対策として検討された臨時雇用では、弥縫策にとどまり、所期の政策効果は発揮できないということだろう。勿論、このような状況に対して、失職者の方に「働き場のえり好みをするな」という批判の声も出てくるのであろうが、それは政策に対する批判とはなったおらず、所詮、説教でしかない。そんな説教は、近所の知り合いにだけ個人的に行うべきであって、より有効な政策を検討するときには、実証された個人の選好=職のえり好み行動を前提として政策は立案されなかければならない。

 政策の優先順位としては、今後の失職者の更なる増加を踏まえた、緊急的なセーフティネットの整備と、安定雇用を確保するための財政政策の出動ということになる。


解雇規制の見直しよりセーフティーネット構築と景気底打ちが先

>ちゃんとしたセーフティーネットができるなら、「まずはセーフティーネット」という順番のほうが私もいいと思います。しかし年金問題などを見てもわかるように、「まずはセーフティーネット」という話になると、また税金をムダ使いされ、政府を肥大させて、セーフティーネットとしては機能しないものができてくる可能性が大きいと私は考えています。またセーフティネットの議論は、税制・年金・医療保険・生活保護などの見直しと一体で考えないと意味がないと思うので(役割の重複や財源を考えても)、その意味では解雇規制の撤廃よりもはるかに大がかりな、手ごわい話になるのではないかと思います。

>そうなんですけどね。どうせ選挙前にさらに雇用問題が深刻なことになるだろうから、今こそちゃんとしたセーフティーネットの構築へ向けて提言すべき好機だと思うのです。役所に任せても難しいけれども、カッチリした議論をぶつけて動かせば意外と早いんじゃないでしょうか。

 にもあるように、総選挙が視野に入りつつ、国会が開会している期間が、まだ5ヶ月近くあるのであるから、現在開会中の国会で、セーフティネットや財政支出改革の議論は十分できる。
さらに、既に平成21年度補正予算編成の議論も出てきている。今後検討されるであろう平成21年度の補正予算では,次にような生活支援サービスへの恒常的な支出=安定雇用を確保する方向での、政策が検討されて欲しい。

・一般会計から介護保険への投入を増やし、利用者負担を抑えつつ、介護報酬を増額改定して、介護人材の賃金水準を引き上げ。

・一般会計から医療保険への投入を増やし、診療報酬について小児科や周産期医療について引き上げるほか、入院付き添い者への助成を再開。

・保育園、学童保育への補助金を大幅に増加し、保育士の賃金水準引き上げ

などなど


 こういった生活支援サービスへの支出を補正予算で大きく増加させ、予算の構造改革への先鞭をつけることが、本当に希求される。大きく予算編成を変えるべき時期であり、補正予算を公共土木事業に費消するのではなく,介護,保育,学童保育,障害者支援,医療などの公共役務事業に向けるべきなのである。
 
 ただ、こういった生活支援サービスに充当すべき財源問題は、例えば、使途限定国債の発行、そして、その国債について日銀の直接引き受けをさせればよい。これで、当面4,5年の間の制度的安定は確保できる。また、そもそも、年金だって,介護だって,医療だって,3~5年程度の期間ごとに,財政再計算に付されるのであるから,恒久財源という議論自体がナンセンス。税だって,法律論から言えば,そもそも国会はいつでも改正できるのであるし,実体面から見ても,毎年度あれほど膨大な租税則別措置法改正がなされているのであるから,法的安定性が確実に確保されている措置という観点では,恒久財源など存在しない。
 必要なであれば、景気回復期以降は、その景気回復による税収増と、人口減少国家にはあまり必要のない土木経費と科学技術振興費を削減して、社会保障中心の財政構造に変わればよい。
 そういう意味では,例の「中期プログラム」というのは,財政支出構造の改変を否定して、本当に大きい政府を志向する、増税のためのデマゴークである。目下の情勢において,増税(及び経済を萎縮させるので,増税論議自体)も全く必要ない。

また、全くの景気対策としてのリフレ政策という視点でも、「潤沢に」供給されたマネーがストック投機に回るようであれば、またも1980年代の「古典的」バブルの再来となる。だから、投機に走る者に対する規制もさることながら、運用の走狗とならざるを得ない金融機関経由のマネー供給ではなくて、生活支援サービスによる遊休労働力吸収へマネーが直接回るような、財政支出の構造的変化と国債の直接引き受けという金融的取組みとの組み合わせがベターであると想われるがどうであろうか。

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