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2009/11/20

そして、金融調節=財源対策

ここからの続き。


 景気回復策が模索されている現状においては、財政のファイナンス方策についても景気対策としての側面に留意しなければならない。つまり、財政支出のファイナンスを増税で賄うのでは、(限界消費性向の高く、流動性制約下にある者への所得再分配という限界的効果をのぞくと)総需要を拡大させる効果を期待できない。
 また、市中消化による国債発行では、結局既存の金融資産が国債に変わってしまい、一種のクラウディングアウトが生じることとなる(通貨増発効果が減殺される)。とすれば、足下においては、財政支出を増加させるためのファイナンスは、国債増発、それも通貨増発効果を併せ持つ、中央銀行引き受けで行うべき状態にある。

 この点は、日本銀行単体の金融調整の効力が低下していることからも、支持されよう。というのも、日本銀行による従来型のインターバンク市場を中核とする金融市場経由の金融調節では効果がなくなっている(銀行の貸し渋り現象や企業の資金余剰主体化)。そもそも、金融機関の信用創造行動が、オーバローン、オーバーボロウーと表された「銀行の積極貸し出し行動」から大きく変化せざるを得ない時代において、銀行の貸し出し行動を前提とした制度設計では、意図した金融調整機能が発露しないのは当然である(また、これが、日銀は受動的金融調節しかできないという日銀理論の「論拠」となり、日銀のパフォーマンスの悪さの免罪符となっている)。
 また、更にいえば、動学的効率性条件が満たされていない、つまり「その経済における投資収益率が成長率を上回る」 という条件が満たされていない現状の日本経済では、投資行動を「喚起」するタイプの金融マクロ経済調整手法は意義を持たないといわざるを得ない。

 この点、直接給付的手法を財政支出の中核的戦術として採用し、そのファイナンスを中央銀行引き受け=通貨増発で執り行う場合には、対象を社会的弱者という一般的には消費性向の高い者に調整することによって、直接消費を喚起するという効果を有し、かつ「金融政策」の経路としても、確実に通貨増発効果を期待できるということから、金融政策と財政政策の適合性が高い政策ミックスとなると評価できよう。

 なお、国債増発というと、将来への負担の先送りだという批判が脊髄反射的に繰り出されるが、日銀のバランス・シートを拡大させたままで維持すれば、「負担の先送り」という議論は成り立たない。つまり、国債を日銀引き受けで発行し、その国債の償還期限が到来した暁には、その借り換え原資を新たな日銀引き受けの国債で調達すればよい。これにより、日本銀行のバランス・シートの額は維持され通貨の縮小を招かずに済むことになる。
 金利の問題についても、日銀引き受けであれば、日銀への利払い分をそのまま国庫納付金として国庫に償還させればよいのであり特段の問題ではない。国債の市中消化とは、消費税を含む将来の納税収入を金融資産保有者に対し再配分することを約束するものであり、所得・資産配分が非常に逆進性を有している。通貨供給を増加させることが必要とされていて、中央銀行引き受けによる国債増発の余力の大きい現状の日本においてあえて逆進性の高い原資調達を行う必要はない。
 この面からも、景気対策(や成長戦略)のための財政支出原資は、中央銀行引き受けで調達されるべきである(少なくともこの1~2年間は)。


そして、まだ続くのです。

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