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2009/11/17

足下で必要とされる経済の舵取りの基本戦略(哲学)

 またぞろ、経済対策という議論もあり、同時に、経済成長戦略(愚妹な表現)なるものが、無駄排除に対するガス抜きなのか、「成長戦略がない」というごくごく一部の論者の言説に対する反論なのかはわからないが、出てきている。

 そこで、少し現状において必要とされる経済政策、経済運営の舵取り方針についてメモを作ってみた。

 まずは、景気対策(失業対策)から。


 目下の景気対策、特に雇用対策において検討において、着目されているのは、介護や保育等の社会福祉サービスへの就労支援政策である。しかし、この類の政策については、補正事業で行うことへの矛盾が指摘されている。
 確かに、これらのサービスにおける就労が拡大しない、つまり、これらの分野への労働異動が生じないのは、現状では、これらら社会福祉サービスにおける賃金レベルが低く、魅力的でないからである。この問題を解消するためには、(公定)賃金を上昇させるべく、恒常的に財政投入(資源再分配)することである。
 一方、景気対策として時限的な補正事業で行う場合によって一時的に雇用条件が好転するとしても、フォワード・ルッキングな(先行きの見通しに基づいて行動計画を設定する)経済主体は、雇用主であろうが被雇用者であろうが、将来の条件悪化を見越して、これらの分野にはリソースを移動させることはない。
 この点において、景気対策としての「社会福祉分野の重視策」が矛盾しているとの指摘も故なきことではない。

 この「矛盾点」を解消していくためには、単一時点の財政支出事業だけで政策を完結させるのではなく、複数のタイミング(時間軸)での事業の組み合わせによって、社会福祉分野における雇用対策を構想するべきなのである。
 その第一は、(既に着手されているところであるが)失業者を中心に、介護/看護/保育(学童保育)/障害者支援を担う者としての資格・スキル取得の場を提供し、その取得の費用や取得に専念する期間の生活費(特に住居費)の援助を行うというもの。この事業は、失業対策であり、原則として時限措置=補正予算によって行われるべきものである。
 経済主体のフォワード・ルッキング性を前提とすれば、このような労働移動(リソースの再アロケーション)を支援する取り組みは時限措置であるべきであり、少なくともその枠拡大は時限措置として行われるものであることが宣言されなければならない。そうすれば、この期限内に支援措置を受けるべく経済主体の行動を促すことになろう(時限措置化しなれば、今決断しないことにオプション価値=支援措置を受けることを先延ばしにすることによるフリーハンドの維持という価値が生じるので、支援措置を受けようとしないであろう)。

 第二に講じるべき策は、社会福祉サービスに投入される資源、特に財政支出の投入を「恒常的」に増加させることでである。この財政の安定的投入という方策によって、将来の雇用条件の改善に対する確信が経済主体(雇う方、雇われる方双方)に共有されない限り、労働力の移動は生じない。時限的な支援措置の発動だけでは効果が発現しない。やはり、主たる政策は、この労働移動の行く先を定常状態として描き出すことであり、補正事業としては、その労働移動を促進するための支援策を講じるというミックス戦術が肝要なのである。

 財源論的には、第一の時限措置政策のための予算措置は、(足下の)補正予算で措置すべきものであろう。もちろん、こういった類の措置が、来年度も必要となる可能性は高いので、事業が複数年にわたることが否定されるものではないが、あくまで時限措置として制度上位置づけられるべきものである。
 第二の恒常政策のための予算措置は、本来的には当初予算で措置すべきものであり、景気対策的議論の上では、その「前倒し」措置ということになる。とすると、原則的には、財政支出の先の転換を伴う必要があって、既存支出の大幅な切り込みが必要となる。
 この切り込まれた先において、失業合が生じるようであれば、まさにその分野において補正事業として、この分野からの労働退出=社会福祉分野等への労働移動を促すための時限措置を発動し、その不況和音の低減、激変緩和をすればよいことである。


以下、まだ続く。

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