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2011年3月13日 - 2011年3月19日

2011/03/19

震災復興のための広域搬送と受け入れ先確保のために総理がすべきこと

徐々に交通拠点網が復活しつつある中、ここ1ヶ月については広域搬送網の整備が問題になります。これなしには、被災地への物資補給も被災地からの重傷者の広域搬送による被災地負担軽減もままなりません。報道を見る限り、あまり優先順位をつけずに場当たりで「できたところから」になっているようですが、これでは、日本全体に「血栓」を広めているようなものです。いつまでたっても効率化されません。
いずれにせよ、短期の受け入れ施設(宿泊施設、要介護者の受け入れ、保育所、病床)の特例的整備を同時に実子しつつ、広域搬送の「定型化」、つまりルートの固定化が必要になります。また、この瞬間は、広域で被災地に「ものを入れる」ということだけに注力されていますが、向こう1ヶ月程度の期間では、被災地の負担を低減するため、乳幼児(母子)、病者、老人、障害者等の弱者を被災地域から運び出すことが、全体の負担を低減させることにつながりますから、こちらを計画的に進める必要があります。
 このためにも、比較的余裕のある遠隔地の余裕のある空間に空路及び海路で人を搬出するロジスティックを構築するべきです(前回のエントリーにあるように、関西経済圏との関係から空路は静岡、海路は金沢を拠点にするのが良いと思います)。


 さらにまた、ここ半年程度では、被災者の受け入れ先(居住場所)確保が問題となります。この点での最大にポイントは、被災者を受け入れる自治体等の組織体が得をするメカニズムを早急に講じる必要があるという点です。これは、日本国の予算案発議権を憲法上専有する内閣の長たる総理の決断でしか可能とはなりません。
 つまり、23年度初頭に組み替えられるであろう補正予算において、地方交付税の算定基礎に、被災4県(原発の関係で茨城を入れます)に住民票を有する者が半年以上滞在した場合には、一人につき数百万を交付税として交付すると総理が言明するのです。あるいは、短期1ヶ月程度の被災者受け入れ経費として自治体が負担した分は、23年度補正予算で全額補助すると言明するのです。
 そうすれば、日本中の自治体が被災者を受け入れようと競争することになるでしょう(ただし、交付税不交付団体である東京都は除かれますが)。
介護施設についても同様で、被災地からの要介護者等を受け入れれば、国庫からの自治体の保険会計への支出増を背景として点数を上げるとするのです。この資金については、介護保険自体に恒常的に必要となる資金はありませんから、復興債で賄っても問題はありません(ちなみに、復興資金調達の問題については、矢野浩一先生が素早くモデル解析をなされています http://dl.dropbox.com/u/2260564/tohoku/tohoku001.pdf )。
 先に述べたように、被災者の広域搬送先では特例的な受け入れ施設整備が必要になりますが、緊急的に整備された人的・物的ストックで移動可能なものは、今後の被災地における復興住宅整備に転用することも必要でしょう。
 また被災避難者に介護福祉士、保育士、理学療養師、看護師等の資格をとるための研修・教育を避難地の専門学校等で行うという手がありますが、そのような被災者のための介護士、保育士教育についても、そのような生徒を受け入れた専門学校や看護学校に雇用調整助成金から支援を出せばよいのです。
昨晩のような総理演説よりも、被災者を受け入れた者・組織体には、最大限の財政支援をするという「内閣の重要政策に関する基本的な方針」を論じることが総理の仕事です。おそらく、現在の日銀であれば、そのために必要な復興債引き受けをする胆力はあると思います。

 なお、被災者の皆さんへの住居対策については、より長期的な視点から、現在の「ストック充実策」のみではなく、流通整備策として、以下のような議論も必要かと思います。

○長期的に人口減少国家であり、かつ、目下のように「明日住むところがなくなった」という者、あるいは劣悪な住居に追い込まれてしまう世帯が増加するという世情における政策目標として、「優良な住宅ストックへの投資拡張」(都市整備を含む。)を設定するという発想自体が、適合的でない。

○目下必要なことは、「住宅賃貸市場」の「機能強化」である。具体的には、賃貸住宅の稼働率が下がりながら、賃貸料や賃貸条件(敷金条件、保証人条件)が利用者に有利な方向に動かない現状をどう打破するか、ということ。

○ごく短期的には、資金弱者が住宅を借りる場合の最大の障害である「敷金」と「保証人」について、この住居契約条件を設けない賃貸業者に対して、資金融通(一定期間の賃料未払いと原状復帰費用の保証)をすることが求められる。これは、生活保護制度と歩調を合わせて行えば、「窓口」に金を積むこと(見せ金)で、生活保護費用の支出を減少させることができる。

○中長期的には、賃貸条件(単純な家賃レベルだけではなくて)において、障害となっている条件、より具体的には、入居時・転居時に必要となる固定費を減少させることが重要であり、そのような入居条件の誘導方向に合致する賃貸住居への投資を促進するような政策(新設、改装費用の融資の条件緩和、あるいは、入居者リスクを保険的にシェアする仕組み=入居者信用リスク情報の共有)が必要である。

○このような仕組みは、特に地方公共団体が、管轄下のどの地域に住民という担税力を集めたいかという観点で、町作りの構想、職住接近(生活支援サービス拠点をどこに)の構想と整合的に進めることが適当であることから、各種の独立行政法人の窓口と市町村が連携することが重要であり、国の資金を交付税等のメカニズムで分配する形で実施する方が良い。

○いずれにせよ、住宅ストック投資の「拡張」によるトリクルダウン論は、
 ・住宅ストックの数量的需要が人口学的に減少する日本においては、スットク投資は無意味であり、これを強行すれば住宅バブル(将来的なローン破綻潜在者の蓄積=被災者の困難の二重化)を招く
 ・住宅ストック投資への税制面、金融面での優遇は、資金保有者(信用力の高い者を含む。)への助成政策であり、逆進的な面が強い
という観点から、不適当である。

○とにかく、スットク重視とトリクルダンウン論という発展途上国的発想から、既存の住宅ストックから生まれる住宅サービスというフローの質の向上と円滑流通(フローの資源配分の効率性重視)という先進国的、成熟国家的発想への転換が必要。

2011/03/17

東北関東大震災において必要とされる復興事業のイメージ

超短期のライフライン関係及び今後の防災対策関係はのぞく

○日本全域から被災3県への広域物流確保策
 国道4号線が被災3県を縦貫しているが、広域輸送を陸上輸送に頼ると、この国道4号線が渋滞することになる。この国道4号線は被災地域内の域内物流の生命線であり、ここを広域物流が「ふさぐ」ことは効率性を著しく低下させる。
 そこで、港湾物流と航空物流を、閑散としている地方空港や地方港湾を活用して、再構築する。例えば、静岡空港は、東名高速道により関東圏関西圏に接続しており、ここを拠点に物資や人材を集積して、稼働している花巻空港に輸送する。この事業については、既存の航空会社というよりも、富士山静岡空港株式会社に対し、国が特例法により出資して、大規模増資をして、それこそJALをリストラされたパイロットや整備士を2年間程度の雇用契約で根こそぎ雇用することで賄うということが検討されえる(機材は、国際航空機のレンタル市場から調達する)。
 港湾については、国内海運の拠点を日本海側、例えば金沢に定め、そこから津軽海峡を経由して、八戸港等に輸送する海路物流網を構築する。この場合も、例えば港湾振興の法人などに出資して、運送事業を地方整備局等から委託する形とし、当該法人が国内海運会社と随意契約で再委託契約を結ぶという方式もあり得る。
 この広域輸送網を確保することで、負傷者や高齢者等を域外移送するための移送網としても活用できる(当然、受入側の病院や介護施設について、特例的な手当、つまり基準未達・各自治体の医療計画病床数の上限を超えることとなっても、医療保険、生活保護の医療給付の対象化、介護保険の対象事業所としての簡易認定等を併せて行う必要があるが)


○域内交通インフラの「分散型」での復活策
 ガソリンタンドという自動車運行インフラが崩壊しているものと思量されるところ、ガソリンスタンドという危険物保管施設を復活させるのではなく、電気自動車による分散型交通網を作り出すべし。
 具体的には、ガス改質装置及び太陽光パネル、風力発電機を大量に域外から沿岸部に集中的に輸送。これに合わせて、軽自動車をベースにする電気自動車を大量に輸送(例えば、ゼロスポーツ社の技術を活用)。
http://www.zerosports.co.jp/index.php


○「有給」ボランティア制度による雇用確保策
 日本全体では、有効求人倍率が低く、今回の震災による更に民間企業の求人は減少するものと思われる。そこで、この4月に就労出来ない状態にある30歳未満の者、あるいは、ニート、引きこもり者については、「有給」にて復興作業に従事する「ボランティア」を募る事業を行う。
 また、これらのボランティア作業に従事した者については、平成24年度以降の国立大学や専門職大学院(特に教員大学院や法科大学院)における入学試験における加点措置などを法制化すべし。
 さらに、ボランティア活動から、介護事業や建設事業等への恒常的事業体への転換への促進を行うため、例えば消費生活協同組合法やNPO法を改正して、コーポラティブ型(雇用者が経営参画することを義務づける法人法制)を策定し、かつ、このようなコーポラティブ型法人と会社法上の会社との間の組織変更制度を整備する(逆もあり)。
 コーポラティブ型法人の法制度を整備するのは、特に、一般法人法の設立手続きが過剰で登記費用や総会開催費用等の面で法人設立を不当に制約しているから。さらに、こういった法人に雇用されている者についての労働保険、健康保険の雇用者負担についての公的負担(時限措置)を検討。


○「感情労働」従事者を手厚く配置した復興住宅確保策
 阪神淡路の際にも問題になったが、復興住宅における身体的、心理的ケアが、高齢者と子供に必要になる。そこで、介護福祉士と保育士の育成を大幅に増員し、今年の後半に本格化するであろう、復興住宅群を整備する場合には、介護システム、保育システムを一体的に整備する。

→これらの措置に必要となる財源は、「復興債」として国債を増発するものとして、特例法でも、国会決議でもよいので、日銀引き受けを行うべき。週明けの日銀の資金供給オペレーションは、久々のヒットであったが、ここでも明らかになったのは、日本の金融システム全体、日本の銀行の機能不全(銀行は、日銀の資金供給を受け入れきることできず、応札が日銀の資金供給目標を下回っている)を表象しており、伝統的な金融政策が機能していないことが明らかになっている。
 よって、マクロ経済政策的観点からも、遊休人材と資源を活用するべく、人為による資金配分が不可欠であり、日銀引き受けによる「復興債」を大量発行するべきである。
 また、付随的効果として、この復興債の大量発行により、円レートが円安になることが予想されるが、これをもって日本の為替安誘導であると国際的に非難されるおそれは想定できないし、仮にそうであっても必要なものは必要なのであり、昨年11月のような懸念なく円安誘導に進めることとなる(これは、原油等の資源価格の動向にもよるが、短期的には日本企業への一服の時間を与えることになる)。

○自立復興に向けた金融確保策
 郵貯マネーを活用した、
 ①住宅再構築、事業再建に向けた者への直接の金融確保(商工中金、政策投資銀行等)
 ②地域金融機関の破綻懸念払拭策及び貸し出し拡張策(不良債権の買い取りと信用保証)
 ③ノンバンクの利用拡大策として、マイクロファイナンス方式に対する貸金業法、出資法の限定解除
 これらの事業、特に①については、国または該当機関自らが財投機関債を発行することでも可能(これを日銀が引き受ける)。他方、②や③の方策を金融機関の株式その他の持分を取得する方式で行う場合には、株式会社たる郵貯銀行が持ち株会社化する方式の方が有効であるものと思われる。

<復興に向けた基本哲学>
 誤解を招く表現であることを認識しつつも、

「前世紀の遺物を引きずったハード、ソフトを復興させるのではなく、21世紀型の協調ネットワーク型社会を復興するためのハード、ソフト両面の整備を目指し、日本社会の今後の「目指すべき姿」が仙台に、石巻に、南相馬に現れ、世界中の人々が移住したいと思うような新しい生活空間を作り出す」

ということを基本哲学、スローガンとすべき。

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