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2014/09/14

妥当な円レートの継続のために

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近頃、やっと少し貿易に円レートの適正化の結果が、発露してきているようである。
すでに主要な製造業の海外展開は進んでおり、為替レートの如何にかかわらず、輸出が増えることはないという(さかしらな)言説がもてはやされています。しかし、これは近視眼的なものの見方で、過剰な円高によってもたらされた異常を正常に戻すには、もっと時間が必要と言うことにすぎません。
経済学者のクルーグマンが、「ヒステレシス効果(履歴効果)」という概念で説明しています。

設備投資のようなサンクコストを生み出す経済行動は、その行動を変化させる変数の変動に対して遅れて変化するということですし、変化が適正水準より一時的に大きく変化しないと、サンクコストを生じさせる行動を変化させる引き金にはならないということです。

つまり、海外での日本企業による設備投資行動を変化させるために、適正な円レートが数年続くだけではなくて、一時的には、円安方向にぶれる必要があるということです。
日経新聞等に掲載される記事では、「マーケットインのためには、市場の近傍で生産しなければいけないので、日本では投資しない」といういかにも言辞があふれていますが、こんな経営戦略論の初等教科書に書かれている程度のレベルの低い(そして、あほな経済評論家が愚かにも信じている)命題が、永遠の真理でないどないことは、いくらもで反証をあげることができます。たとえば、iPhoneは、中国で生産されていますが、最も大きい市場はアメリカです。そして、生産している中国ではシェアを下げています。建設用機械やジェット旅客機などでも、地産地消になど全くなっていません。

要すれば、相対コストの問題であって、日本の製造業が国外に出て行ったのは、ひとえに(表面的な)コストのこの問題です。そして、その相対コストを決定している最も大きい要因は為替レートです。
ヘクシャー=オリーンの定理から分かるように要素価格は、(為替レートの調整が機能していれれば)均等化します。だから、労働法制の問題とか、規制緩和等の問題はミクロの資源配分の効率性の問題であるが、マクロの相対コストの問題には、ほとんど影響しません(こういった非効率な要因があれば、為替が下がって、非効率性を吸収します。もちろんこの場合、交易条件は悪化します)。

重要なのは、為替の適正化、そして一時的な円安化であって、それが達成されれば日本国内で作る方が相対コストが低くなるので、日本に製造拠点が帰ってくるとは必然です。

そこで当面大事なことは、円安を維持しつつも、過剰な経常収支の赤字にならないような方策です。
現在の貿易収支の赤字の拡大を生み出しているのは、化石燃料等の鉱物資源の輸入という議論もあるかもしれませんが、実際にデータを見てみると、東日本大震災の前の年である2010年と比較しても、数量ベースでは1割も増えていません。輸入の増加が大きいのは、情報通信機械工業です。もとも輸入がその時期にも多くなっていたはずなの2010年と比較して2割上も輸入が増加しています。そして、情報通信機械工業の国産は5割を割ろうとしています。つまり、数量ベースでは、貿易収支の赤字拡大の原因は、価格面からは鉱物資源ですが、数量面からはテレビやスマホといった情報通信機械なのです。

この輸入をどうやって縮減し、円安状態で、経常収支の赤字を減らしていくかということが議論に、今後なっていくものと思います(アップルの新製品が出るたんびに、祭りを起こしているのは、マクロの日本経済からすると、あまりに滑稽です。私にとっては、Apple Watchなんかより、Moffbandの方が数億倍、物欲を刺激すると思いますがね)。

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コメント

>日経新聞等に掲載される記事では、「マーケットインのためには、市場の近傍で生産しなければいけないので、日本では投資しない」といういかにも言辞があふれていますが、というのほとんどが反日(媚中、媚韓)のマスコミでしょう。
それをいうならアメリカ(及びメキシコ等)に投資する方が中韓に投資するよりはるかに良い筈ですが、そういう論調はあまりありません。

本来、日本は製造業の拠点としてかなり有利な構造を備えています。
特に、開発速度と品質が問題になる業種にとっては多少のコスト高でも日本にいた方が良い筈なんですけどね。

私見ですが、テレビやスマホといった情報通信機械の輸入を減らすためにはサムソンをはじめとする韓国企業や中国企業を叩きつぶす(少なくとも協力しない)のが一番だと考えています。
別に反韓とか反中でいってるわけじゃありません。
これらの国々は原価を割ってまで輸出してくるからのなです。

公正な競争ならともかく国家からの様々な補助(補助金だけではなく異常に安い電気代等も)を受けた企業がパくりまくってきたのではやってられないでしょう。

韓国が再びIMFの管理下になっても日本は一切援助すべきではありません。
その機会に徹底的に叩きつぶすべきです。

アップルの機種には相当な量の日本製部品が使われていますから、世界規模でみた場合、日本の輸出も増えているんじゃないでしょうか?

一時的な円安に振れるというのは同感です。
では、どれ位になるとお考えですか?
私はせいぜい115円位までだと思いますが・・・。


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