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2014年9月14日 - 2014年9月20日

2014/09/17

「4-6月期と1-3月期を平均すれば昨年の10-12月期よりも高い水準」という欺瞞

またぞろ内閣府の何とか会議では、足下の景気を悪くないとうそぶいているようだ。

その根拠が、今年の1-3月期と4-6月期のGDPの平均は、昨年の10-12月期よりも高いということだそうだ。これは明らかに統計でごまかしをしようとしている典型的な論法。

Gdp_6

最大の問題点は、「在庫純増」の取り扱い。


4-6月期のGDPの二次速報の前期比はマイナス1.8%の低下だが、需要項目のうち、プラスの寄与をしているのは、在庫純増と純輸出だけである。

これだけでも、国内の自律的な需要が弱いことは明らか(特に、純輸出のプラスは輸出の増加ではなくて、輸入の低下であり、これも内需が悪いことの間接証拠)。


そして、問題は在庫の前期比寄与度がプラス1.4%もあること。

こんなにひどい在庫の積み上がりが生じたのは、丁度リーマンショック直後の2008年10-12月期。こういう経済環境の悪い時にしか生じないような在庫の積み上がりが生じているのだ。

鉱工業指数でみる在庫循環(生産と在庫)も在庫積み上がり局面(出荷と在庫でみると、完全に)に入ろうとしており、4-6月期の在庫の増加は決して前向きの「積み増し」ではなくて、企業が意図しない「在庫の積み上がり」(要すれば、97年と同じで根拠のない需要予測から作りすぎている)であることは明らか。

その「需要」があるので、結果的に4-6月期はマイナス1.8%に留まっているのであって、これを除けば需要の減退はマイナス3%以上になる。


今回のマイナス1.8%に対して、確かにリーマンショックの時は、GDPが前期比マイナス3.3%低下であったが、この低下の大部分は純輸出のマイナス2.9%低下寄与によるもの。

内需の各項目の寄与度はマイナス1%前後に留まっている。しかし、今回の民間最消費支出の低下寄与はマイナス3.2%低下であり、他を圧倒して内需が悪いこと示している。

 

その何とか会議に参加している企業経営者は、PLを読むことが全くできないのだろう。どこの企業に、PLで在庫純増を会計上の売上げと認識する人がいるだろうか。

その何とか会議に参加している経済学者もいるそうだが、マクロ経済学の学部の1年生の最初からやり直した方が良いと思うよ(実績と計画の均衡の区別が全くできていない。普通それが分からないと単位はもらえないと思うよ)。

 

来年10月という1年以上も先に消費税を上げることが良いかどうかの判断はしかねる。

しかし、現在の景気の状況を「回復」とか、「良い」という欺瞞で塗り固めるのは止めてもらいたい。ただちに、対策(金融政策も含めて)を講じるべきだ。

 

捕捉

 ぼちぼち出始めた8月の動向も悪いですね。

 乗用車の売上げや百貨店の売上げ(実質的な前年比は増税分を割り引くとマイナス)、貿易統計の8月上中旬の赤字も前年比で増加。マンション販売も悪いし、外食もだめ。いいとこ全くないですが、これで景気が回復とは・・・・

2014/09/15

消費税率の引き上げが「国際公約」という????

そもそもの疑問。

「国際公約」という概念自体が曖昧模糊としたもので、よく分からないというよりも、国際的なイメージ以上の何の意味もないレトリックでしかりません。法的には、「国際約束」という概念はあり、国際社会における法的主体である国家間の約束で、立法が認めれば条約、行政機関同士の約束であれば協定ということになります。
法的に独立国である日本は、内政の中心である税制をどうするのかについて、租税条約および関税について通商関係条約で、何らかの具体的な制度措置を約束していないのであれば、国際法的にとやかく言われる筋合いは全くありません。
だから、日本の政治家が国民に対して「国際公約」などというのは、レトリック以外の効用はなにもありません。
勿論、彼らの「国際公約」の対象は、他の国家ではなくて、資本市場における信認だというでしょう(それを「国際公約」と表現することが適当とは思えませんが)。

20140527_photo1

ただ、「選良」である政治家の皆さんは、ご存じだと思いますが、2013年末段階においても日本は世界最大の債権国なんですよね。だから、日本国債の償還リスクについては、日本で革命でも起きない限り(というか、ロシア革命では、対外債務の償還を保証しましたので、革命があっても大丈夫な場合もある)、経済的な理由では不安になどなりません。必要なら日本国民の保有している対外資産を処分すれば良いだけの話です。

こういうと、国債金利が上がって大問題になる、という脊髄反射的な反論が来るとは思います。そもそも、短期的に消費税を上げなかったからといって、国債金利が上昇するという実証的な根拠は何もありません。だって、ほとんどの国債を国内で消化しているので、消費税を上げなかったからといって、国債金利が上昇する理由はほとんど存在していません。たかだか消費税を上昇させなかったことで、国内居住者が国債のリスクが上昇するという計算をするのであれば、社会保障改革による歳出の抑制に失敗した時点でとっくに金利は上昇しているはずです。要すれば宣伝の問題です。

また仮に上昇したとしても、それは新発債の発行コストが上昇するだけで、既発債のコストが上昇する訳ではありません。新発債のコストの問題ですから、予算編成でいかようにでもコントロール可能です。問題は、既発債の時価評価が会計上下がるという問題ですが、日銀や国に特別会計が保有している分については、それがどうしたというところです。最大に問題は、日本の銀行(メガバンク、地銀等)が保有している分です。

とはいえ、地銀等の国内業務しかしていない金融機関については、金融庁は会計基準における国債の時価会計についての特例措置を講じれば良いだけで、要すれば帳簿価格についての減損処理の繰り延べをして、保守主義的な会計に戻せばよいだけです(満期保有していれば、額面額が償還されるので問題なし)。

メガバンクについては、BISに強制されるルールに従うしかないのですが、その減損分の資本をまた「見せ金」的に優先株でも発行させて、国が買えば良いだけです(そのキャッシュは、日銀引き受けでやればよいだけ)。

だから、

1 日本は未だ世界最大の債権国なので、国際資本市場の付和雷同する信認など必要としていない

2 仮に、国債金利が上昇しても、多少の手間でコントロール可能

なので、気にする必要なし、というところかと思います。

なお、私自身は、来年10月に消費税を上げることが悪いとは思っていません。「国際公約」などという曖昧模糊とした、いわば無垢な国民をだますレトリックで政治的支持を獲得しようとしていることに、納得感がないというだけです。

2014/09/14

妥当な円レートの継続のために

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近頃、やっと少し貿易に円レートの適正化の結果が、発露してきているようである。
すでに主要な製造業の海外展開は進んでおり、為替レートの如何にかかわらず、輸出が増えることはないという(さかしらな)言説がもてはやされています。しかし、これは近視眼的なものの見方で、過剰な円高によってもたらされた異常を正常に戻すには、もっと時間が必要と言うことにすぎません。
経済学者のクルーグマンが、「ヒステレシス効果(履歴効果)」という概念で説明しています。

設備投資のようなサンクコストを生み出す経済行動は、その行動を変化させる変数の変動に対して遅れて変化するということですし、変化が適正水準より一時的に大きく変化しないと、サンクコストを生じさせる行動を変化させる引き金にはならないということです。

つまり、海外での日本企業による設備投資行動を変化させるために、適正な円レートが数年続くだけではなくて、一時的には、円安方向にぶれる必要があるということです。
日経新聞等に掲載される記事では、「マーケットインのためには、市場の近傍で生産しなければいけないので、日本では投資しない」といういかにも言辞があふれていますが、こんな経営戦略論の初等教科書に書かれている程度のレベルの低い(そして、あほな経済評論家が愚かにも信じている)命題が、永遠の真理でないどないことは、いくらもで反証をあげることができます。たとえば、iPhoneは、中国で生産されていますが、最も大きい市場はアメリカです。そして、生産している中国ではシェアを下げています。建設用機械やジェット旅客機などでも、地産地消になど全くなっていません。

要すれば、相対コストの問題であって、日本の製造業が国外に出て行ったのは、ひとえに(表面的な)コストのこの問題です。そして、その相対コストを決定している最も大きい要因は為替レートです。
ヘクシャー=オリーンの定理から分かるように要素価格は、(為替レートの調整が機能していれれば)均等化します。だから、労働法制の問題とか、規制緩和等の問題はミクロの資源配分の効率性の問題であるが、マクロの相対コストの問題には、ほとんど影響しません(こういった非効率な要因があれば、為替が下がって、非効率性を吸収します。もちろんこの場合、交易条件は悪化します)。

重要なのは、為替の適正化、そして一時的な円安化であって、それが達成されれば日本国内で作る方が相対コストが低くなるので、日本に製造拠点が帰ってくるとは必然です。

そこで当面大事なことは、円安を維持しつつも、過剰な経常収支の赤字にならないような方策です。
現在の貿易収支の赤字の拡大を生み出しているのは、化石燃料等の鉱物資源の輸入という議論もあるかもしれませんが、実際にデータを見てみると、東日本大震災の前の年である2010年と比較しても、数量ベースでは1割も増えていません。輸入の増加が大きいのは、情報通信機械工業です。もとも輸入がその時期にも多くなっていたはずなの2010年と比較して2割上も輸入が増加しています。そして、情報通信機械工業の国産は5割を割ろうとしています。つまり、数量ベースでは、貿易収支の赤字拡大の原因は、価格面からは鉱物資源ですが、数量面からはテレビやスマホといった情報通信機械なのです。

この輸入をどうやって縮減し、円安状態で、経常収支の赤字を減らしていくかということが議論に、今後なっていくものと思います(アップルの新製品が出るたんびに、祭りを起こしているのは、マクロの日本経済からすると、あまりに滑稽です。私にとっては、Apple Watchなんかより、Moffbandの方が数億倍、物欲を刺激すると思いますがね)。

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