景気の分析

2014/09/17

「4-6月期と1-3月期を平均すれば昨年の10-12月期よりも高い水準」という欺瞞

またぞろ内閣府の何とか会議では、足下の景気を悪くないとうそぶいているようだ。

その根拠が、今年の1-3月期と4-6月期のGDPの平均は、昨年の10-12月期よりも高いということだそうだ。これは明らかに統計でごまかしをしようとしている典型的な論法。

Gdp_6

最大の問題点は、「在庫純増」の取り扱い。


4-6月期のGDPの二次速報の前期比はマイナス1.8%の低下だが、需要項目のうち、プラスの寄与をしているのは、在庫純増と純輸出だけである。

これだけでも、国内の自律的な需要が弱いことは明らか(特に、純輸出のプラスは輸出の増加ではなくて、輸入の低下であり、これも内需が悪いことの間接証拠)。


そして、問題は在庫の前期比寄与度がプラス1.4%もあること。

こんなにひどい在庫の積み上がりが生じたのは、丁度リーマンショック直後の2008年10-12月期。こういう経済環境の悪い時にしか生じないような在庫の積み上がりが生じているのだ。

鉱工業指数でみる在庫循環(生産と在庫)も在庫積み上がり局面(出荷と在庫でみると、完全に)に入ろうとしており、4-6月期の在庫の増加は決して前向きの「積み増し」ではなくて、企業が意図しない「在庫の積み上がり」(要すれば、97年と同じで根拠のない需要予測から作りすぎている)であることは明らか。

その「需要」があるので、結果的に4-6月期はマイナス1.8%に留まっているのであって、これを除けば需要の減退はマイナス3%以上になる。


今回のマイナス1.8%に対して、確かにリーマンショックの時は、GDPが前期比マイナス3.3%低下であったが、この低下の大部分は純輸出のマイナス2.9%低下寄与によるもの。

内需の各項目の寄与度はマイナス1%前後に留まっている。しかし、今回の民間最消費支出の低下寄与はマイナス3.2%低下であり、他を圧倒して内需が悪いこと示している。

 

その何とか会議に参加している企業経営者は、PLを読むことが全くできないのだろう。どこの企業に、PLで在庫純増を会計上の売上げと認識する人がいるだろうか。

その何とか会議に参加している経済学者もいるそうだが、マクロ経済学の学部の1年生の最初からやり直した方が良いと思うよ(実績と計画の均衡の区別が全くできていない。普通それが分からないと単位はもらえないと思うよ)。

 

来年10月という1年以上も先に消費税を上げることが良いかどうかの判断はしかねる。

しかし、現在の景気の状況を「回復」とか、「良い」という欺瞞で塗り固めるのは止めてもらいたい。ただちに、対策(金融政策も含めて)を講じるべきだ。

 

捕捉

 ぼちぼち出始めた8月の動向も悪いですね。

 乗用車の売上げや百貨店の売上げ(実質的な前年比は増税分を割り引くとマイナス)、貿易統計の8月上中旬の赤字も前年比で増加。マンション販売も悪いし、外食もだめ。いいとこ全くないですが、これで景気が回復とは・・・・

2014/09/13

大本営発表「景気は回復している」

内閣府の政策コメンテータ委員会というとこで、「3ヶ月前と今と景気の状況は?」と問いかけたら、57%の参加者が「景気は回復している」と答えたとの報道があった。

どういう経済指標を見ると、そういう答えができるのか不思議でしかたがない。
7月末までの統計データの実績を見る限り、悪くなっている指標も多く、「横ばい」はまだしも、回復のエビデンスは全くでてこない。

日銀短観や法人企業景気予測調査が「上昇」判断が多いという話をことさらに言祝ぐ論説もあるが、この手の景況感、それも現状や先行きについての調査については「使い方」が、完全に間違っています。
日銀の岩田規久男副総裁が言っているように、マクロ経済政策、特にマクロの金融政策を検討する上で、マーケット参加者の現在の予想を把握することは重要です、しかし、それはその予想が将来実現するからではなくて、現在の経済主体の行動をコントロールするからであり、将来の予測値として意味がある訳ではありません(だから、実績が予測通りになるかどうか自体には関心がない)。
これが正しい景況感統計の使い方です。

しかしマスコミでは、実績統計データを無視して、こういう「見通し」だけを言祝ぐ傾向があり、1997年のときも、こういう認知ラグが景気の悪化の振幅を増幅させたきらいがあります。

だから、この手の「見通し」調査に基づいて、現状を把握していはいけないのです(この手の調査の「現状判断」だって実績に応じた判断ではないので、実態評価としての信憑性はあまりありません。だって、8月に7-9月期の実績がある訳ないのですから)。

いずれにせよ、先の「政策コメンテータ委員会」の57%の方々は、8月末に公表された7月末まで(たかだた1ヶ月前)の実績統計データが示すものを凌駕するほどの経済改善のエビデンスを8月中に入手されているのでしょね。

そうでなければ、それは単なる「大本営発表」でしかありません。

来年の10月に消費税率を上げること妥当かどうかは分かりかねます。
しかし、消費税率を上げるための世論工作のために、悪い経済実態について、「回復している」などというのは、経済分析、経済評価として全くの愚論です。
大事なのは、実績データ、エビデンスに基づく実態判断のはずです。特定の目的のために、レトリックをもてあそぶのは、本末転倒だと思います。

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雇用環境が「回復している」????

いくつかの企業の話(すべて違う業種)を伺うと、異口同音に「人では基幹社員の年齢構成が歪になっていることは気になるが、足りている」という感じ。マスコミが喧伝し、一部のエコノミストが言祝いでいる「人手不足」などというのは「でたらめ」だと思います。

確かに、一時期「すきや」のような「ローコストオペレーション」型(これはもうオワコンだと思う)の店舗アルバイトが払底したかもしれませんが、リクルートの公表しているアルバイト賃金も7月は下がり始めています。やはり、消費増税(と、不必要だった耐久消費財購入行動の異時点間代替)は、景気の腰を折ったと思います。

なお、メーカーさんたちは、エコポイント、エコカー補助金、そして今回の消費税駆け込みといった、需要を一時期に集中させる仕組みについて「ほとほと疲れた」と言ってますね。生産能力が低下している中で、一時期のカンフル剤は海外生産への麻薬的な依存を強めるだけで、日本の基幹的な経済力を奪っているようです。

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